不安定

コラム

不確実性と安定|未来は見通せない

2020-09-04

今と将来の価値は一定ではない

いま持っている1万円があったとして、その1万円の価値は、現在と将来では同じという保証はありません。

将来では、その価値が変動している可能性があり、上昇しているか下落しているかはその時になってみないとわかりません。

また、モノの価値も同じことが言えるかと思います。

腐ってしまったりする農産物や、劣化していってしまう性質があるモノの場合は、長く放置しておくことでその価値がどんどん減っていってしまうことになります。

それを防ぎ、さらにその価値を長く保存しておくには、お金に変えておく必要があります。

ちょうど、不確実な未来に向けてそれを安全な方法で保存しておくということは、ちょうど、獲物が取れるかどうかわからない狩猟に頼るのではなく、安定的な方法で農作物を栽培し、それで得られた食糧や穀物を貯蔵しておくのに似ているのではないか、と思います。

その穀物も、傷んだり腐ったりするということがあったりするし、その価値の交換をする相手であるお金もまた、価値が将来にわたって一定というわけではない…

つまり、不安定なものから不安定なものへと交換しているだけ、とも言うことできるかと思います。

両者の差は、価値が変動しやすいかどうか(将来においても価値が確実か不安定か)の違いです。

リスクとリターン

株式投資、あるいは商売についても言えることですが、「儲かる」ということは、自分が買った時よりも高い値段で売る、という時にしか起こりません。

  • 価格差がプラスならば利益(リターン) → 安心、安全
  • 価格差がマイナスならば損失(ロス) → リスク

この安心とリスクの差があるところを着目し、リスクを冒しながらも挑んでいくところにこそ、利益が潜んでいる、とも言えます。

つまり、お金を得る、ということは、どれだけリスクを追うか?ということでもあり、どれだけ挑戦したか、ということでもあります。

不確実性と安定のどちらを目指すか

経済体制についていえば、自由主義経済と社会主義経済の違い、と表現できるかもしれません。

歴史的には、原始共産制と呼ばれる状態があり、そこから自由主義経済が起こって、その後、社会主義・共産主義と言うものが起きた、とされますが…

自由主義経済にあった問題点をカバーすべく、社会主義・共産主義という考え方が起こった、という経緯があるので、それぞれのデメリットを意識すると特徴が掴める、と思います。

  • 自由主義経済に潜む問題点 → 結果の不平等が生じる
  • 社会主義経済に潜む問題点 → 非効率

自由主義で起きるデメリットは、格差が生じやすい、ということ、つまり、結果の不平等が起きやすいということです。

何も対策を打たなければ、まさに弱肉強食の世界が訪れて、経済的強者が弱者を支配する、ということになっていきます(これが源となって、様々な問題や社会不安が起きる要素ともなる)

一方、社会主義経済で起こるデメリットとすれば、ニーズを汲み取ることができなかったりするので非効率が起きる、と言うことになるかと思います。

その結果、仮に結果の平等を実現できたとしても、経済的な非効率が発生することで全体として大きな損失が発生する、という可能性もあります。

(どちらも実際には巨大な官僚機構を抱えることになりがちで、その結果、機動性や柔軟性が失われることで意思決定に重大な影響が生じていく、という傾向があるかと思われます)

不安定(不確実)をどこまで許容するか

問題は、将来にわたって起こりうる不安定(不確実)をどこまで許容するか、ということになるのではないか?と思います。

将来のことは将来になってみなければわからない、というのが現実であり、現在と将来の変動の幅が生じるという事実を、どの程度まで認め受け入れていくか、ということが、個人の行動あるいは経済体制を決めてきた、と言えるかと思います。

経済的な不安定を安定に向かわせるための施策

  • 金融政策…中央銀行が行う物価や通貨価値の安定、金融引き締め、金融緩和
  • 財政政策…国が政策によって財政の歳入・歳出をコントロールすることで総需要を管理し経済に影響を及ぼすこと
  • ビルトインスタビライザー…景気変動を自動的に安定化させる仕組みをいい、財政制度に備わっている景気変動を自動的に調整する機能のこと(所得税などの累進課税制度、雇用保険による失業等給付などの社会保障制度)

国と中央銀行には、上記のような経済を安定させるための役割があり、それが適切に運営されることによって、経済的な不安定をより少なくさせています。

相互に連関し、ときには互いにその機能を補完しながら安定を実現していくことが求められます。

また、法律、政令、省令、条例など、様々な規制がここに加わって影響を与えていくことにもなります。

なお、市場の動向、海外の情勢なども影響してくることがあります。

つまり、規制やコントロールをしないと、経済は暴走してしまう、ということになり、その結果、個人は甚大な被害を受けることになりかねない、ということになります(規制やコントロールの度合いを多くしすぎてしまうと、今度は自由が失われ、活動がしにくくなってしまうので、デメリットが生じる、と言うこともあります)

そもそもが不安定なものに対し、どの程度の不安定さを許容しながらどこにゴールを設定するか、それが、個人のそれぞれの行動を決める大事な要素でもあり、また、経済の安定を実現するための国や中央銀行の様々な規制となって現れてくる、ということになります。

それぞれの主体は互いに関係し、影響を与え合う(力の差はあるけれど)という関係にあります。

そこまでしても、将来は見通せず、不確実なままですので、基本的に安定という概念は幻想であり、そもそも未来は絶えず変化していくものである、ということにもなるかもしれません。

(正直な感想ですが)

これらを見てみると、そもそも実現が難しいことを、無理をしてでもなんとかしようとしている、というような印象があり、だからこそ対処するのは難しくて当たり前、という気もします…

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