航海

コラム

大航海時代の話|背景と教訓

2020-10-12

大航海時代とは?

大航海時代は、歴史の教科書に必ず登場する出来事です。

この大航海時代の影響は、人類がそれまでわかっていなかった未知の領域を新たに発見していった過程でもあり、交易を通じて様々なものが遠く離れた地域に互いにもたらされたことにもなりましたが、現在にまで続く紛争の火種を作ったという負の側面も持っている、と言えるかと思います。

大航海時代の背景

大航海時代はなぜ起きたのか?その背景について考えてみたいと思います。

ルネサンス

ルネサンスという運動は、中世以前と中世以後を分ける出来事です。

ルネサンスは過去のギリシア・ローマ時代の古典文化を再生させる形で起こったようです。

ヨーロッパには失われていたそれらの過去の文化的遺産が、イスラム世界に保存されており、その古典を再発見したヨーロッパ人によって、文化的な運動として起こった運動、それがルネサンスです。

ルネサンスが何年から始まったかはわかりませんが、歴史的な事件として東ローマ帝国が滅亡した1453年あたりにはすでにルネサンスは始まっていたのではないか、と思われます。

レコンキスタ

ヨーロッパ大陸にいたイスラム勢力を一掃し、国土を回復しよう、とする運動がありました(レコンキスタ)

レコンキスタが終わった(イスラム勢力からヨーロッパ人が国土を回復した)のは、1492年と言われています。

なお、レコンキスタの「外へ膨張していこう」という機運がヨーロッパ国内だけに止まらなかったことが、大航海時代に関係しているのではないかと思われます。

キリスト教の宗派争い

当時、ヨーロッパでは、宗教をめぐる争いが起きていました。

従来のカトリックと、新興勢力であるプロテスタントの争いです。

これは、活版印刷が登場したことにより、印刷物として聖書からキリスト教を知ることができるようになったことで、それまで見えてこなかった点が明らかになったことで生まれています。

この宗派争いはヨーロッパに広がっていて、結果的にはカトリックを信じる国の人々がはじめに大航海時代に海に乗り出していっています(ポルトガルとスペインはカトリックの国)

また、教会としても、新しい信者を獲得したいという気持ちがあり、それが大航海時代に反映されているはずです(宣教師を積極的に海外に派遣している)

経済環境の変化

ヨーロッパ域内でも当時貿易は行われていましたが、どうやら宗教戦争などの問題もあり、その流通経路が変化したことがなんらかの影響を与えている可能性があります。

(気候の変化や伝染病など、他の要素も影響しているのかもしれません…)

羅針盤

やはり海を渡るための手段は船になりますが、その時の重要なツールとして、羅針盤が発明されました。

この羅針盤の登場により、航海術が高度化したことで、知らない海域でも迷わずに方向を把握することができるようになりました(なお、羅針盤は中国でかなり前に発明されていて、イスラム世界を通じてヨーロッパに伝わって使用されるようになった、という経緯がある)

香辛料

香辛料は、ある特定の地域でしか栽培できません。

この香辛料は、当時、シルクロードを通じてヨーロッパでも手に入れることができたようですが、運ばれてくるまでにイスラム商人の手をいくつも経て運ばれてくることになり、価格がおそろしく高いものだったようです(同じ重さの金と同じ価値だったらしい)

いわば、中間マージンを省き、さらに船を使って自らこの香辛料をヨーロッパまで運ぶことができれば大金持ちになれる、という欲望が大きく作用したことも大きな要素だったはずです。

文学の影響(マルコ・ポーロ『東方見聞録』)

当時はいまほど世界のことはわかっていませんでした。

地球が丸かったということも、地球が太陽を中心にその周りを回っているということも、あるいは、世界にはどのような地域があるのかということもわかっていませんでした。

いわば、わからないことだらけです。

地図もありませんので、当時の世界地図では、地図の縁を超えるとそこに魔物がいる、とさえ考えられていました(コロンブスがアメリカ大陸を発見した時も、この地図の縁を目指しているので、船員たちの反乱に遭っています。コロンブスの行きの航路をみると、途中で突然ルートがねじ曲がっていたりする部分がありますが、これはこのような事情で船が引き返そうとした証です)

そんな時、心の拠り所になっていたのは、マルコ・ポーロが記した『東方見聞録』だったようです。

この本の中では、日本は「黄金の国ジパング」と紹介されています(ただし、マルコ・ポーロは日本を訪れたことはなく、「そういう場所があるらしい」という扱いです)

この本の内容が伝播したことで「海の向こうにはまだ知らない豊かな世界があるかもしれない」という機運を作ったことは十分に考えられることです。

(『東方見聞録』は13世紀から14世紀ごろに書かれた本です)

市場を求めて

大航海時代は、それまでの環境が変化したことへの反応として起きています。

明らかにはなっていないけれど、どこかに新しいもの、未知なるものがあるということはわかっていて、それを求めた結果だと言えるかと思います。

なお、経済的な動機も大きく、時代が進んでいくと、原住民から土地を奪い、資源を奪って、それを本国に持ち帰るようになり、やがて海外領土としてその場所を支配するようになりました(その影響が、民族同士の対立の構図や、現在まで続く国際紛争の原因として残り続けています)

技術的な問題(当時わかっていたこと、わからなかったこと)

当時わかっていたことは、おそらくかなり少なかったかと思われます。

むしろあったのは、誤解や迷信、ウソのような不確実・不正確な情報です。

そして、現在ほど海を渡っていく技術はなかったはずです。

正確な情報は少なく、技術的にも確かとは言えず、そもそも誰もその場所を発見さえしていない場所を発見しにいく、という困難さがあります。

それを乗り越えて行こうとするほどまでの熱望や欲望といったものが、当時は存在した、ということなのかもしれません。

同じ時代に起きたこと(年表)

1488年 バルトロメウ・ディアスが南アフリカの希望峰に到達する

1492年 コロンブスがスペインの支援を得てアメリカ大陸を発見する(インドに到達することを目指したが、たどり着いた場所はインドではなかった。なお、地図上では、コロンブスが到達した島々には西インド諸島という名前が付けられている)

1494年 スペインとポルトガルの間にトルデシリャス条約が締結される(この2国で世界を半分にしよう、と縄張りを取り決めた条約とされる)

1497年 バスコ・ダ・ガマがインドに到達、香辛料をポルトガルに持ち帰る

1509年 フランシスコ・デ・アルメイダがイスラム勢力と戦い、インドとの直接交易を獲得。ポルトガルはその後、東南アジアに拠点を築く

1522年 マゼランが世界一周を果たす(地球が球体でつながっていることが証明された)

1543年 日本の種子島にポルトガル人が漂着、そのときに鉄砲を伝える

まとめ

大航海時代の影響は良い面と悪い面があった、と思います。

ただ、当時の人々の行動は現在の倫理や基準では測れません。

いい悪いを超えた1つの事実として大航海時代を見たときに、未知なるものを死の危険が伴っていても求めようとするのが人間だ、ということは確実にわかります。

その背後に控えていた問題や条件を丁寧に見つめることができれば、今後新しい事態が人類に起きたときに、何かの教訓となるはずです。

(また、人間が持つ好奇心や冒険心といったものへの対応の仕方も学ぶことができるかもしれません)

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