elfがPC98で発売した最後のタイトル
やたらと長いゲームタイトルですが、このゲームは1996年にelfから発売されたゲームです。
なお、elfがPC98向けに制作した最後の作品です。
当時はすでにWindows95が発売されていた時代であり、PC98はその役割を終える時期を迎えていました。
以後、MS-DOSで動くゲームはelfから発売されていません。
どんなゲーム?
パラレルワールドを行ったり来たりするSFファンタジーですが、かなり設定が作り込まれています。
主人公の父親は数ヶ月前に亡くなっている設定なのですが、実は生存しており、その父親が残した手がかりをもとに主人公は並列世界を行き来しながら様々な謎を解明していく、というストーリーになっています。
この作品では、タブーとされるような表現に踏み込んでいます(近親相姦、カニバリズムなど)
elfのゲームは考古学を題材にすることが多い印象がありますが、本作のシナリオはそれまでelfでシナリオを執筆した蛭田昌人氏ではなく、剣乃ゆきひろ氏です。
【PC 98】 この世の果てで恋を唄う少女 YU NO オープニングデモ 128k
ゲーム性
ゲームシステムとして、ゲームシナリオを画面上で視覚的にマッピングしつつ、セーブ機能も持たせている独自のシステムがあります。
ゲームの中心的な概念である並行世界を行き来する、というコンセプトに合わせ、従来のセーブ機能にそれ以上の意味を持たせており、セーブするためのアイテムである宝玉はゲームにおいて大事なアイテムにもなっています。
なお、シナリオを読み進め、プレイヤーの選択によってシナリオが変わり、エンディングも変化していくというマルチエンディングの方式をとっているのは他のゲームと変わらない部分です。
特筆すべきは、並行世界という概念を押し広げ、ゲームをプレイしている側の価値観を相対化させるところではないか?と思います。
いくつもエンディングのパターンを設けていく中で、従来の恋愛シミュレーションゲームならばキャラクターの攻略は個別のストーリーで完結しがちなのですが、このゲームにおいてはストーリー展開上、各エンディングはいくつもあった可能性の一つ、という意味がさらに強いように思います(宝玉を集め切った後には、異世界編が始まり、本当のエンディングが用意されている)
いくつもあるエンディングはあくまで可能性の一つであり、本当のエンディングは1つです。
恋愛シミュレーションゲームにおいていくつもあるエンディングはそれぞれが1つの目的なのですが、このゲームにおいては本当の目的は本当のエンディングを迎えないと達成されません。
それなのに、ゲームシナリオは余計なシナリオを省いていくことができず一通り同じルートをなぞっていく必要があります。
並行世界という世界観を打ち出しているが故に、基軸となるストーリーを意識させるためにこうしているのだろうか?とも思われますが…
怖いゲーム?
ゲームの雰囲気は、決して明るいものではありません。
ゲームの演出もややホラーな印象を与える場面があります。
タブーとされるような部分をあえて扱ったりもしていて、全体的にあっけらかんと明るく楽しいゲームではありません。
(実際、私はプレイしていて怖いシーンに出くわして、ちょっと先に進めるのが辛く感じたこともありました)
ゲームとしての評価
この作品は、発売前にかなり話題になったようです。
販売本数的にはとても売れた作品とは言えないかもしれませんが、いまだにこの作品を評価する人が多くいます。
作り込まれた設定と世界観、シナリオ、ゲームシステム、これらがしっかりとしていたために、とても印象に残るゲームになっています。
ただの気晴らしだったテレビゲーム、パソコンゲームの時代には考えられないゲームと言えます(時にはプレイヤーを不快にもさせながら、深みのあるストーリーを見せていくという時点で、「面白い」の内容がゲーム初期の時代からだいぶ方向的に変化し高度化している)
思い出
このゲームに私が触れたきっかけは、2000年にelfから発売された「elf大人の缶詰」に収録された復刻版です。
「elf大人の缶詰」というのは缶詰の中にCD-ROMやキャラクターグッズなどが詰まっている体裁をとっていました。
当時持っていたWindowsノートPCで復刻版のYU-NOをプレイして遊びましたが、私が感じた率直な感想は「うまく言えないけど、それまでにないゲーム」でした。
ただのエロティックな表現を求めるわけでもなく、本当にゲームとしてプレイする側を違う世界へと誘うことを目的とした、ゲーム性の高いゲームだったと言えるでしょう。
追加情報
なんと!任天堂SwitchでYU-NOがリメイクされています!
メーカー特設サイト http://yu-no.jp/
YU-NOを過去に遊んだ方も、まだ遊んだことがない方も、ぜひ一度、この世界観に触れてみてください(オススメです)
なお、旧作についてはセガサターン版が手に入る可能性があります。