(はじめにお断りしておきますが、私は経済の専門家ではありません。一般的な見方とだいぶ異なることを述べている可能性があります。ですので、この記事の内容をすべて受け入れる必要はありません。1つの参考としてお楽しみいただけると幸いです)
国という組織の特徴
法的には、人間は自然人と法人に分けられます。
自然人とは実際に生きている人のことで、法人とは法的に人としてみなす人間ではない法的な人のことをいいます。
法人は営利・非営利を問わず集団として集まっている団体であることが多いですが、なんらかの目的のために設立した1人会社のペーパーカンパニーなどでも法人になることができます(個人でも手続きを踏めば、法人を持つことができます)
法人化することで、その集団は権利の主体として行動する上で、法律上の庇護を受けることができます(義務も発生することになりますが)
国もまた、国民をメンバーとすることを基本とする法人である、と言えます。
ちょっと違うのは、国の場合は国民から委託されて力を行使することが許されていて、場合によっては財産を没収したり強制的に国民の自由を制限することもでき、税金としてお金を国民から徴収することもできる(しかも罰則を付けてまで支払いを強制することもできる)というところです。
国の借金
国もまた人である、とすると、お金を借りたりすることもあります。
ですので、国が借金を抱えることもあります。
国の場合、国民に行政サービスを行うことが仕事です。
個人では費用が莫大すぎて賄えないもの(道路建設、安全保障や警察などの治安と安全に関するもの、その他公共に関わるもの)を提供するのが国の役割です。
借金を抱えると、返済の時に金利を付けて支払わなければなりませんが、そうなると国であっても財政が圧迫されます。
すると、国はメンバーである国民に対して税金を多く取ろうとしたり、サービスの質を低下させようとしたりします。
国の借金が問題になるのはこればかりではありません。
国は、国民が使う通貨に関する影響力を強く発揮します(通貨発行や管理をするのは国の子会社のような存在である中央銀行ですが、国はそれに対して影響力を発揮できる立場にある)
お金を借りている人が、そのお金の価値を(直接にではなくても)操作できるとしたら…?
こういうことがあるので、国が借金を抱えると、それをなんとかしようとするための行動がメンバーである国民の生活に大きな影響を与える事態が起きる可能性があります。
単純に言えば「通貨を安くして借金を目減りさせてしまえ!」ということです。
過去の事例 第二次世界大戦の戦費調達とその後
日本では、第二次世界大戦後、ハイパーインフレが起こりました。
その時、通貨の円は大幅に価値を失いました。
それだけでなく、国は戦費を調達するために、国民に国債を買ってもらう形でお金を借りていました。
国民も、国家に協力するために国債を購入した人が多くいました。
ところが…
通貨が暴落したことにより、国債の価値も暴落しました。
その結果、国債を持っていた人は、さらに財産を失うことになりました…
これは特殊な例かもしれませんが、場面が違ってもこういうことが起こることは十分にあると言えます。
国の借金は悪いことなのか?
国がする借金は、完全に悪いことだとは言い切れない、と私は昔、行政学の先生に習いました。
国の借金は、国がサービスを提供している証です。
さらに、世界を見ても借金が無い国はありません。
国民のために国があり、国が国民のためにする行動が国民のためになるのならば、借金をすることも許容される、とする考え方がおそらく主流です。
経済を活性化するために需要を作り出す、そのために国は公共事業をしたり、財政出動をする必要があります。
それをしないと、国民が経済的に苦しむことになります。
しかも、その国民1人では、そうしたことは実行できません。
そのために借金をする、ということが行われることが肯定される考え方がずっと続いています。
(おそらく、1920年代以後現在まで、ずっとです。ケインズ経済学が有効であり続ける限りそれは続いてくかと思います)
ということで、国が無借金でいることが正しいこととは言えないようです。
(次回に続く)