(前回の続きで、職場における文化の違いについてもう少し続けます)
人は思ったことが全て
やはり、人はなんらかの目的地がないと、そこまでたどり着くことができません。
動機は何であっても、まずは何かをしたい、達成したい、実現したい、と感じることがないと、その地点までいこうとは思いません。
個人の場合なら、例えば痩せてキレイになりたい、ということを願わなければダイエットを本気でやろうとは思わないかと思います。
会社の場合なら、何を目標として何を実現したいのか、という理念が必要です(会社は私的な集まりでしかなく、お客さんに必要とされることを実現しないと存在する必要もなければ、存続していくこともできません)
やっていることが同じなら、違いはどこに出るのか?
会社は世の中にたくさんあります。
日本全国にある普通法人は約274万7500社と言われています。
東京商工リサーチ ホームページより
2020年都道府県別「赤字法人率」調査 赤字法人率66.1%、8年連続で改善 : 東京商工リサーチ
法人数と比較するのはおかしいかもしれませんが、この数字は、京都府の人口数、あるいは大阪市の人口数と同じくらいの数に当たります。
それくらい多くの数の法人が世の中に存在していることになります。
ですので、大抵の業種には競争相手がいる、と考えるのが自然かと思います。
では、自社と同じような仕事をしている他社があるとして、それぞれの違いはどこに出てくるのでしょうか?
形あるものを生産している場合、それは品質の差かもしれませんし、サービスを提供している場合は、そのサービスの質に関わってきます(値段もそれぞれ違います)
求める人に求めるものを提供するのは企業の側の問題で、目の前にある商品を必要とするかどうかはお客さんが決めることです(両者の思惑がマッチするかどうか、ということが商売では大事になります)
人間の個体差はわずかな差でしかない、と言われることが多いですが、製品の品質の差は実際には大きく違う、と言えるかと思います。
品質は、当たり前なことを当たり前に行うことでしか向上しません。
これは、料理するとき、きちんと下ごしらえしないと味がおかしくなるのと似ています。
集団で何かを生産している場合は特に、守らないといけないことを徹底してできているかどうかということが品質の差にあらわれます。
教育の重要性
品質の差は、教育の差です。
規律を守ることができていれば、予定していたものができます。
トラブルが起こることが無くなり、品質が向上します。
何かを生み出そうとするならば、事前にしておくこと、実際に作業としてやること、事後にすること、それらを1つ1つきちんと処理していく必要があります。
それをおろそかにしないために、教育があります。
やって良いこと、やってはいけないことを徹底し、問題があったらごまかさない、という意味では、教育は人間性の問題に踏み込む部分もあるかもしれません。
そもそも、職業という言葉は宗教的な意味すら持っていました(ドイツ語で職業はBerufといいますが、これは宗教的な意味合いを持つ言葉でもあります)
優れた商人であればあるほど、周囲に迷惑をかけない、といったことを大事にしていて、人間性が優れていくものでもあります(松下幸之助などの経営者を見ていると、やはりそうとしか言えません)
当たり前なことを当たり前にできるようにするために、教育を行うことが大事です。
人体の細胞の話
突然ですが、ここで人体の細胞の話です。
細胞は1つの区画のようなものであり、1つだけが好き勝手に暴走することはなく、それぞれの役割を果たしながら人体の全体のシステムと調和して存在します(細胞がガンになって増殖し続けてしまう状態は除きます)
細胞は新陳代謝を繰り返していて、現在と明日の状態は違っています。
1つの人間という個体は変わらないでそこにあるように見えますが、実際はダイナミックに入れ替わりつつ1つの形が保たれていることになります。
会社もこれと同じだ、と私はそう思います。
会社を構成する人それぞれが細胞であり、それぞれが役割を果たすことによって会社はそこにある、という状態を保っています。
従業員各自の中に会社(の精神)は生きているか?
細胞1つ1つには設計図であるDNAがあります。
「会社を構成する従業員1人1人には、会社のDNAがあるだろうか?」
(会社のDNAとは、社訓、会社の目指すもの、精神のようなものとお考えください)
それぞれが受け持つ現場で仕事をするのは、1人1人の人間であり、会社という架空の人(法人)ではありません。
その実際の人が行うことが、会社を作っています。
そこに全体を統一しているDNAが無いとなると…?
おかしなことが起きてもおかしくない、と言えます。
なので、1人1人の心の中に社訓、会社の精神・DNAが共有されているかどうかということが大事になるわけです。
まとめ
- 違いが生まれるのは小さなことの積み重ねの差
- 1人1人に会社の精神・DNAが共有されているかどうかの差