今回は、日本の雇用制度についてです。
一度は終身雇用という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、いま、終身雇用は成り立たなくなってきています。
目次
日本社会の雇用制度の特徴
日本における雇用は、「メンバーシップ型」と呼ばれます。
特徴として、
- 新卒一括採用で安定的に人材を確保
- 年齢に応じて誰もがある程度の地位までは上っていくことができる
- 雇用が安定
- 働く側は人生プランを立てやすい
- 会社という共同体に強い忠誠心を抱く
この日本的雇用慣行が定着したのは、1970年代だったそうです。
日本的雇用慣行とは?
日本的雇用慣行
- 終身雇用
- 年功序列
- 企業内労働組合
このように定義されます。
イメージ的には、会社に入ったら、定年まで同じ会社で働いて、年齢に応じて給料も上がっていく、というものです。
終身雇用、維持できません
ですが、近年、終身雇用は維持できなくなりました。
トヨタ自動車でさえ、終身雇用は維持するのが難しくなった、と表明しています。
(2019年5月13日、豊田章男・トヨタ自動車社長の日本自動車工業会における会見)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/syukatsu/syukatsu10-84/
背景
その原因となっているのは、経済を取り巻く環境が変化している、ということです。
技術革新が進んだことにより、よりコストをかけないで従来の何倍もの仕事をこなすことができる機械が登場してきています。
その登場により、生活が変わったので、当然ながら人間のライフスタイルも変化しました。
このことが、人々のニーズや行動に大きな影響を与えていることが大きいです。
また、日本は追う立場から、追われる立場になった、ということも大きいです。
さらに、人口が減少している、ということも大きいです。
これらの変化を見れば、今までの前提が通用しなくなって当然に見えますよね?
逆を言えば、環境がそんなに長期間も変化しなかったことは奇跡だったのではないか?とも思えます。
変化しない時間が長く、あまりにそれが成功してしまったがために、逆に今度はそこから変化していくことが難しくなってしまった、という側面もあります。
制度の前提
日本的雇用慣行の維持に必要だった前提条件は、
- 人口増加
- 伸び続ける高い成長率
でした。
人口が増え続ける、ということは、企業は拡大し続けていける、ということです。
しかも、経済成長していく、ということなので、ものが売れていく要素は揃っている状態です。
現状
ところが、今はそうではありません。
- 人口減少
- 低い経済成長(時にはマイナス成長)
日本的雇用慣行の時代とは、環境がガラリと変わっていますね。
今はシステムの変革期
これは確実に言えるのですが、
現在の時代は、システムの変革期です。
この時代に生まれてしまったことを嘆いても、始まりません。
人間は生まれる時代を選ぶことはできないのです。
せっかく生まれてきた人生ですから、その時代に合わせて生きていくことを目指さないと、生きるのが辛くなります。
いらない中堅社員?
今の時代に合わせて生きていくことができない人は、生き残るのが難しい、というのが現状です。
それは、持っているスキルが、数年後にはまったく使えなくなるかもしれないからです。
「もう歳だから」
と言い訳している場合ではないのです。
ただ、現実として、50代以上の年齢層の人たちにとっては、変革についていくのは厳しい時代というのも確かなのかもしれません。
- 歳をとれば、学習してもなかなか若い人に比べたら身につきにくい
- 体も若い人に比べると利かなくなる
実際に、働く意欲を失った中堅社員も存在しています。
これは日本的雇用慣行の問題とも言えるのでしょうけど、昇進するポストがなく出世にあぶれた年齢の高い社員に対しても、会社は高い給料を支払うようなシステムになっています。
こうなっていると、現状に満足してしまう人も出てくる。
会社にとっても、その人にとっても、由々しき事態です。
特に、その個人にとっては、変化することへの意欲、やる気がなくなっている状態なので、よくない状態ですね。
このままではいられない
うかうかしてもいられません。
社会にも活力が失われ、このままでは個人も社会もただ衰退していくだけです。
解決していくには、事実を直視し、マインドを変えることではないでしょうか?
もちろん、そんなこと言う前に、すでに社会のあり方は変わってきていますし、個人の意識も徐々に変わってきているはずです。
いま一度、やる気を出して物事に取り組まないといけない時期です。
それを怠ったら、何十年後かに、私たちの子孫に、私たちは名指しで非難されるようになるのかもしれません…
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日本的雇用の限界 まずは人材の適正評価から
目次1 要点2 考察 (日本経済新聞より転載) 日本型雇用改革の論点(下)企業越えた人材評価基準を 小熊英二・慶応義塾大学教授 https://www.nikkei.com/article/DGKKZ ...
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