情報を利用する|情報を受け止めること、解釈すること、正しさのこと

2020-10-06

大事なのは「情報をどう受け止めるか」ということ

情報は、そのままではただの符合です。

暗号がそうであるように、あるいは電子データがそうであるように、それを復号することでやっと人間がわかるようになります。

もちろん、これは1つの例であり、日常使っている言語情報が音声として流れてくれば、それを耳にするだけでその意味を知ることはできます。

ただし、その中身、伝えようとしていることは、すぐにわからないこともあるし、本当に心から理解するのに何年もかかる、という場合もあります。

情報は伝わるだけではただの情報であり、発信者の意図がいくら詰まっていたとしても、それを受け取ってもらえなければ、相手には伝わらないことさえあります。

つまり、情報を伝えることは、そのプロセスや伝達方法がどうであれ、相手にその意味が伝わないければいけないのであり、相手がその情報をどう受け止めてくれたかが大事、ということになります。

まずは情報を受け取る

まず、情報は伝わらないなら、価値がありません。

良い情報も、伝わないでどこかに封じ込められたまま置いておかれたら、価値がありません。

誰にも知られることがないまま、誰にも発見されることもないまま、情報としての価値を失っていくことになります。

ですので、情報を伝える方法には気をつける必要があります。

受け取る側も、その情報を感じとることができないならば、情報の価値を引き出すことができません。

発信者にも、受信者にも、情報についてのスキルが必要とされます。

情報の解釈に必要なこと

情報を解釈することは、発信者にも受信者にも必要とされます。

発信者は、目の前で起きていることを、発信しようとする媒体に向けて変換する必要があります。

変換する過程で影響を与える要素によって、変換した後のものが変わっていくので、ここが非常に重要な部分です。

情報を変換する過程では、編集する必要があります。

ここで、何かが削除され、さらに場合によっては何かが編集者の意図で付け加えられる場合もあります(誇張や事実とは違うこと)

発信者が何を求めているかにもよりますが、公平公正であることと発信者が求めることが完全に一致しているのなら、その内容は公平公正なものである確率が高く、両者がかけ離れている場合は、公平公正とは言い難いものになっている確率が高くなっていることでしょう(たとえ、見た目では正しいことを言っているように見えたとしても…)

また、受信者も、自分の考え方に沿って情報を受け取るか受け取らないかを決める傾向があります。

いったん、その情報が受け入れられると判断したとしても、その内容を100パーセント汲み取ることはありません。

受け取る側の気分、感情といったことによって、受け取り方が全く変わってしまう、ということが起きるのが普通です(何年後かに見返すと受け取り方が180°変わっていた、という可能性もあります)

受信者は情報の消費者ですが、求めるものは変わりやすく一定しないものであり、だからこそ一定であること(見方、受け取り方、安定していること)が大事で、その状態を高めていって情報を受け取る能力を高めていくことがのぞましい姿だと思います。

ウソの情報

世の中には、人を騙そうとして流すウソの情報と、本人がそれをウソだとわからず善意で伝えてしまうウソの情報があります。

しようとしていることがウソである、と認識できているかどうかが問題です。

結果的に、それが誰かに損害を与えるのなら、どちらが問題が深いでしょうか?

どちらも同じくらいだと私は思います。

相手がウソだとわかってその情報を受け取らないのであればそれが望ましいですが、善意でウソの情報を真実の情報だと伝えてしまっている場合、騙された人も、それを伝えてしまった人も傷つく結果となります。

ですので、嘘かどうかを見分ける力はとても大事な能力です。

発信者が信頼できても、それが100パーセント正しいとは限らない

情報が目の前にあり、それが信頼できる人が発した情報だったとします。

その情報は、生の情報から見た場合、どの程度正しいのでしょう?

限りなく100パーセントに近かったとしても、100パーセントではありません。

情報によっては、これが90パーセントの場合もあれば、50パーセントの場合もあれば、0に近い場合もあるはずです。

目の前の情報をどう評価するか?

どこまでが正しくて、どこからが間違っているか、それをわかるようになることが大事だと言えます。

情報を受け取る人は、結局自分で見たわけではない

情報として伝わってきた時点で、それを受け取る人は、現場で情報の元となった人やものや出来事に触れていません(あくまで擬似的なものでしかない)

これは、伝達技術が発達しても、おそらく解決することはできません。

もしできるとしたら、人間同士がネットワークで直に繋がって、自分の思考回路が誰かと共有できるようになっていて、誰かの見聞きしたり皮膚で感じた感覚までもがすべて自分のそれと同じであるように自らの思考回路に伝達される、というようなことが起きない限り無理でしょう(そうなった時点で、自分と他社の区別ができない、という深刻で困難な問題が発生していると思いますが…)

情報通信技術が発達したことにより、それまでの人類が一生のうちに受け取れる情報とは桁違いの情報を受け取れるようになりましたが、情報はそもそも現実の出来事からすれば変換された擬似的なものでしかないのです。

この視点は、覚えておく方がいいのではないか、と思います。

誰かの視点

とは言え、人はすべての分野の専門家になることはできません。

目の前の出来事を解釈し、噛み砕いて説明してくれる人が必要なことが多くあります。

情報そのものが誰かの視点を含まないことはあり得ないのと同時に、むしろ積極的に誰かの視点を必要とすることもあります。

評論家という職業、あるいは、有識者、専門家、そういった人たちは、情報を解釈することが上手い人たちです(知識や経験を持っているため)

その人たちの意見を参考にする、ということが必要な場合もあります。

ただし、それが本当に正しいかどうかは、判断しにくい場合もあります(専門的すぎる分野の情報は、そもそも背景知識や理解するための準備が整っていないと、理解することが難しい)

そして、恐ろしいことに、専門家がまちがっている、という可能性はいくらでもあります…

評価できないわからない分野であればあるほど、正しいか間違っているかを判断するのは困難になります。

何が正しく、何が間違っているのか?

正しい、間違っている、これをどうやって人は判断するかがわかると、何かが掴めてくるはずです。

それに沿っていれば、その人にとって正しいことを発信者は伝えることができるので、目的を達成しやすくなるからです。

人は、信じたいものを信じる傾向があります。

信じたいことと、本当に正しいことは、イコールではありません。

社会の大多数にとって正しいことでも、ごく一部の人にとっては間違ったことです。

自然法則や本当の真理かどうかは、パッと見ただけではわからないこともあります。

正しいのに、それが伝えられた時代では間違った情報として扱われてしまい、批判を受けたり訂正を迫られたりして、場合によっては葬り去られる…ということも起こったりします。

結局のところ、本当の意味で正しいか間違っているかを問わないならば、情報もまた需要と供給のバランスで成り立っている、と言える部分があります。

自分を構成するもの

人間は、育ったり生きている環境に人生を左右されます。

その人の価値観を形成するのは、その人が受け取った情報に依る部分がとても大きいと言えます。

(自分で体感したことが1番の貴重な情報ではありますが、それだけで人間は構成されません)

ということは、誰かの視点が混じった情報を元にして、自分が形作られている、ということになります。

善悪・良し悪しを越えた、人間の宿命とも言える部分です…

自分は自分だけでは成り立たず、他者がいることによって成り立つものなので、互いに変動していく不安定さの中に、その人の感情の基礎となる部分が作られていく…

心は固定されたものではなく、常に変化していくもの、です。

曖昧で、形はありません。

それが人を動かし、人を形作っているのですから、私たちはふわふわとした形のないものに頼っている、極めて脆弱な不安定さを抱えています…

何が正しいかは、そんな不安定さの中から真の正しさを見つけようとする行為の中からしか発見できないものです(とても面倒ですが…)

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