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言語情報、聴覚情報、視覚情報
何かを相手に販売しようとするとき、あるいは、何かを人に勧めようとするとき、あるいは、単に誰かとの距離を縮めようとするとき、人は、3つの情報によって物事を判断する、とされています。
それは、言語情報、聴覚情報、視覚情報の3つです。
- 言語情報というのは、伝えようとする話の中身のこと
- 聴覚情報というのは、声のトーン、抑揚、話の間やタイミング
- 視覚情報というのは、相手の姿形、見た目のこと
これら3つが合わさって、相手は物事を判断する、ということになります。
ものを買おうと思うときの心理
ここでは、人がものを買おうとするときに何が起こるのか、ということについて注目してみたいと思います。
(お金を払ってまで何かを買おう、というのは、おそらく1番ハードルが高いことのように思えるので、取り上げることとします)
売り手にとっての最終目標は、もちろん「ものを買ってもらうこと」です。
買い手にとっては「ものを買うことによって自分の中の問題が解決されること」になります。
これは、薄毛、ダイエット、美容、学習、就職、健康などの問題を考えてみればわかりやすいことだと思うのですが、なんらかの切実な悩みを抱えている人にとっては、何かを手に入れることでその問題が解決するかもしれない、という気持ちがあってこそ何かを買ってみよう、という行動に出ることになります。
人は何に重点をおいているのか
では、見ず知らずの人が物を販売しようとしていたとして、それに相対している人は、何を相手から受け取るのか?
なんと、それは圧倒的に視覚情報である、とされています。
メラビアンの法則というものがあります。
これは、心理学者のアルバート・メラビアンが行った研究で明らかになったことで、人は感情や態度について矛盾したメッセージが発せられたとき、相手の発するどの要素が影響を及ぼすかについてを調べたものです。
これによると…
- 言語情報で7パーセント
- 聴覚情報で38パーセント
- 視覚情報で55パーセント
という結果だった、とされています。
なお、これはコミュニケーション全般について当てはまる物ではない、とされています(人との関係において、見た目の情報でほとんどが決まる、というわけではありません)
行動経済学の話
行動経済学という学問分野があります。
ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンが有名ですが、行動経済学は「人間の感情により、合理的な判断が歪む」ことを明らかにしようとしています。
これによると、人間は感情により物事を決定し、あとでその行動について(自らを納得させるために)その理由を作り上げる、とされています。
つまり、ものを購入しよう、という行動は、行動経済学によれば、「買ってみたい」という感情に大きく行動が左右される、ということになります。
心の中でまず興味を魅かなければ、相手は心を開かない
このことをメラビアンの法則と合わせて考えれば、相手が何かに心惹かれる状態でない限り、購入するという行動に写るのは難しい、ということになります。
そして、それを促すためには、売り手の伝えるメッセージが大事である、ということになります。
つまり、相手の興味関心を惹くためには、相手の心理的な警戒心を解く必要があります。
もちろん、伝えようとする中身が大事なのですが、それを受け取ってもらえるかどうか、中身もさることながら視覚情報(見た目)に大きく左右される、ということになります。
視覚情報は相手に見えやすいメッセージ(敵か味方か?)
これは、同じ内容であっても「誰が言ったか」によって相手の受け取り方が大きく違う、ということでも明らかです。
自分が大事と思うことについて批判的な人や、敵対する人、的外れなことをいう人が、もし自分に何かアドバイスをしたとしても、その中身が的をえた内容でもおそらく、なかなか受け取ることはない、ということが起きます。
ところが、自分が目標とする人や尊敬する人に同じことを言われたら、おそらくそれを受け入れる、ということが多いでしょう。
これは、同じ内容を話しているのにもかかわらず、相手のメッセージを自分が受け取っていない、という状況を表しています。
つまり、相手のメッセージを受け取るかどうかは、自分自身の心のあり方にかかっていて、相手を警戒していたりするようななんらかの原因を取り除かなければメッセージは伝わらない、そのため次の行動を取ることも難しくなる、ということになります。
(逆に、相手の警戒心を解くことができれば、相手に自分のメッセージを受け取ってもらいやすくなる、ということでもあります)
そのとき、いかに相手の心を解くかが大事であり、その方法の一つとして視覚情報(見た目)が有効に作用する、ということになります。
それぞれが伝える中身の違い
言語情報、聴覚情報、視覚情報のそれぞれは、できることとできないことがあります。
この特性を把握した上で、どういう場面でどういうことを伝えようとしているのか、ということを意識することが大事ではないか?と思います。
これは、例えばマスメディアをとってみても、新聞なのか、ラジオなのか、それとも写真なのか、という違いです。
それぞれができることが違い、もし文字を読むことができない状況(暗くて文字が見えない、とか、文字を読む環境でない、とか)では内容を知ってもらうことすらできません。
また、雑音がひどかったりする環境では、音声を集中して聞いてもらうことは難しいでしょう(特に、それがクラシック音楽のようなものだった場合、雑音があるとすべてが台無しになってしまいます)
写真についても、それでしか伝えられない事実があるはずなのですが、その特徴を生かしきれない状況にあっては、やはりメッセージは伝わりません。
結局は、確率の問題?
ものを買ってもらう、ということが最終目標である場合、結局のところこれはそれぞれの要素を掛け算して行った結果をいかに高くできるかにかかっているのと同じです。
100人いる中で、言語情報・聴覚情報・視覚情報のそれぞれが原因でどれだけの人が離脱せず残ってくれるかを考えるならば、それは、
100 × X × Y × Z
ということになります(XYZはそれぞれ残存する割合を表します)
それぞれの要素の中身を変え、より興味関心を持ってくれるようにしていくことができれば、最終結果は変わってきます。
まとめ
結局、相手に何かをしてもらう行動をとってもらうには、相手にメッセージを伝えることが大事であり、そのためには、相手が自分のメッセージを受け取ってくれる状況を作ることが大事だ、と言えます。
そのためには、とにかく相手に警戒されない状況を作ることが大事であり(親近感を持ってもらうことも大事で)それを作り出すときには視覚情報が大きく作用する、ということになる、ということになります。