職場の人間関係

2021-02-26

人間関係の悩みは人間の悩みの9割

心理学者のアルフレッド・アドラーは「人の悩みの9割は人間関係である」と言っています。

それくらい、人は自分以外の人との関係で悩みます。

もしかすると、自分以外の人間と関係していくということは、そもそも困難を伴う作業なのかもしれません。

人間が言葉を話すことができることでより深いコミュニケーションが生まれ、より効率的な集団行動を可能にし、社会を形成していったであろうことを考えると、人との関わりがあったからこそ人間のいまがある、と言える部分もあります。

社会があることで人間にとって生存しやすい環境を作ることができたのは事実であり、その代償として、人間関係で悩むことは避けられないこと、と考えることもできます。

なぜ悩むのか?

そもそも、なぜ人間関係で悩むことになるのでしょうか?

それはおそらく、それぞれの人間の考え方や性格や主義主張が違っていることがまずあり、その考え方をお互いに理解できなかったり、受け入れることができなかったり、受け入れようとしないことに原因があります。

コミュニケーション自体が取れず、見た目やその人の行ったことの結果だけしか見えず、その背景にある考え方や事情までを汲み取ることができず、一方的な思い込みや偏見を持つようになることが原因とも考えられます。

話してみれば「案外いい人だった」と思うことは割とあることです。

自分と他人は違う生き物

これは夫婦関係についても言えることですが、自分と他人は違う生き物であり、まったく同じと考えて行動すると痛い目に遭います。

まったく同じ、または、あまり違いがないのならば、ストレスなくやりとりができて精神的に楽ですが、大きな隔たりがある場合は、コミュニケーションを取るだけでもかなり大変です。

夫婦や恋人の場合、相手はほとんどの場合、自分とは性が違っており、男女間で生物上の違いがあることも考えると、ものの考え方や見方が違うことは避けられません。

それでも一緒にいようと思うのは、相手に尊敬の念や愛情を感じるからであり、一緒にいることに価値を感じるからです。

行き違いでつらい思いをしても、それを上回る何かがそこにあると思うからこそ関係が続くわけであり、関係を維持しようと思うからこそ仲直りするチャンスを探ったり、互いに謝ったりして関係を修復する行動に出ます(そうして苦労していく中で精神的に鍛えられる、とも言えます…)

それすらないままだと、あとは制度としての結婚制度が持つ法的な財産上のメリットや世間体を保つため、あるいは子どもがいる場合はその子どもへの影響、経済的な問題から、ただ一緒にいるだけの関係になります。

この状態は、おそらく人生に良い影響を与えないので、かなり問題がある状態と言えるでしょう。

夫婦関係ほど濃い関係でない場合は、さらに相手への対応がドライになりがちで、思いやりといった要素が抜け落ちていくことが多くなります。

会社や組織は何のためにあるのか?

現在の世の中で生きる場合、多くの人はなんらかの会社や組織に所属して、そこで働くことになります。

その所属先の会社や組織は何のためにあるのでしょうか?

会社というのは営利を目的とした私的な集まりであり、利益を上げることが目的となります。

その業務の内容は会社によっていろいろですが、会社に雇われているということは、その営利を目的とした作業をする、ということです。

会社は何かを作ったりサービスを施して付加価値を顧客に与え、それによって利益を得るわけであり、そこで雇われている人はその活動に従事している以上、付加価値を生むための作業をすることが求められているわけです。

自分はどうして会社や組織に所属しているのか?

ただ会社で働くことが当たり前になっているとつい忘れがちなことですが、人が会社で働いているのは、雇用契約を会社と結んでいて、労働力を提供する代わりに賃金をもらう契約をしているからです。

つまり、会社で働くことでお金を得るために、会社で働いています。

また、そもそも会社で働くという選択肢以前に、自分で自営業として仕事を行う場合を考えてみれば、会社で複数人で分担している作業を1人で切り盛りする必要があります。

それができなかったり、行う能力がないことを見越して会社組織に所属する働き方を選んでいる部分もあるでしょう。

また、自営業の立場が本来の姿と仮定するなら、会社に所属して働くことを選ぶ時点でそこで起こるメリットとデメリットを受け取ることを選んでいることにもなります。

さらに、ただ仕事をするだけでなく、それで価値を生んで、それによって対価を得ているわけです。

会社にいようが、自営であろうが、それは変わらないことです。

つまり、仕事を通じて何を実現したいのか、ということが大事になります。

会社にいると、自分の作業が何の役に立っているかが見えにくくなり、その結果、ただ仕事を問題ない程度に処理していればいい、という気になりがちです。

本来の目的を考えれば、自分の仕事の結果が顧客にとってメリットを生むものでない限り、お金を得ることもできません。

戦う相手は何なのか?

つまり、会社組織にいて人間関係に悩むことは、会社で働く際に本来悩むべきことではなく、悩むべきことはいかに目の前の仕事を処理するか、いかに顧客に価値を感じてもらうものやサービスを提供するか、といったことのはずです。

戦う相手は職場の同僚ではなく、目の前の仕事や課題なのです。

これを間違えると、互いの足を引っ張り合うことに関心が向いて、職場環境が悪化するばかりか、働く人の精神に悪影響を与え、生み出される製品やサービスにも品質の劣化が起こる可能性があります。

(次回に続く)

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