サラリーマンは、目隠しされた競走馬?|ESBIの話

2020-07-11

ESBIという考え方をご存知ですか?

この分類によれば、サラリーマンというものの性質が見えてきます。

ESBI

ESBIというのは、

 Employee(労働者)

 Self employee(自営業者)

 Bussiness owner(ビジネスオーナー)

 Invester(投資家)

の頭文字を取った造語です。

地位別の働き方の類型を指しています。労働によって収入を得るのか、権利収入によって収入を得るのか、ということをグラフにした時にできる4つの類型を分類したものです。

労働者は自分の労働力を会社に提供することで収入を得ます。

自営業者もまた、自分の労働力で収入を得ています。働かないと収入はなく、自分だけが頼りです。

ビジネスオーナーの場合、労働力を提供しないで収入を得ています。いわば、他の人、他の富を生み出してくれるものを持っている状態です。

投資家の場合も、労働力を提供しないで収入を得ている状態であり、お金や権利そのものを利用してお金をさらに生み出している状態です。

サラリーマンは労働者

これで見ると、サラリーマンというのはただの労働者です。

肉体労働か、事務仕事かの違いはあるにせよ、扱いの区分は労働者でしかありません。

労働者の中でも高い給料をもらっている人もいます。

ですが、自分の労働力だけで生きていることとやはり同じです。

自営業者が主流だった時代もある

サラリーマンと同じように、自分で働いている状態なのが、自営業者です。

自営業者の場合、会社に所属せず、自分で生産手段を確保して、場合によっては従業員も抱えながら生きています。

この状態は、うまく運営しないとサラリーマンよりもキツい状態です。

というのも、誰かがやってくれるわけではないし、自分でなんとかしないとお金も入ってこないからです。

労働時間はサラリーマンより長く、サラリーマン以上のお金が稼げる保証はどこにもありません。

従業員を抱えると、さらに気苦労が増える場合も多くあります。

この自営業者がサラリーマンよりも多くいた時代が、日本にもかつてありました。

高度成長が始まる前まで、およそ1959年から前の時代は、サラリーマンである人よりは、自営業者である人の方が世の中には大勢いたのです。

サラリーマンが主流になった背景

サラリーマンが主流になったのは、まさに高度成長にありました。

農村を捨て、都会に出て働く。

この流れが人々を都市部に集中させる結果にもなり、労働者として働くことが推奨されたことの現れです。

サラリーマンが単純にお金を稼ぎやすい状態だった、という背景ももちろんあるでしょう。

それに、農村の現実として、当時はお金になる商品作物を作っている農家というのは少なかったように思われます。

農家は長男が継承するものであり、次男三男は外に出す、という不文律も存在しました。

自然に、家業である農業を継承しない立場の人間は、生産手段を持たないので、労働者にならざるを得なかった、ということになります。

さらに、当時はベビーブームが起きて、人口が急激に増えていこうとしている時代です。

農村はそれほど経済的に人間を収容できない、となれば、あぶれた側の人間は、自然に都市に流入せざるを得ません。

都市部は、工業化に向けてまっしぐらに歩んでいる時代ですから、人手不足です。

物を作っていない場合でも、経済成長が著しい時代ですから、人が必要です。

こうして、人が都市部に流入していく流れができていたという時代背景が、サラリーマンが当たり前、という意識をもたらしたと言えます。

サラリーマンには不利、自営業者には有利な税制

サラリーマンは、実は税制面で不利です。

会社には経理事務を担当する部署があると思いますが、その経理は何をしているか、というと、給与計算をしています。

日本の会社の経理事務部門というのは、税務署の出張所です。

税務署はお金を払わずとも、経理事務を民間が手伝ってくれている状態なのです。

サラリーマンは原則、確定申告しなくて済むのも、経理が肩代わりしてくれているからです。

ただし、大きな落とし穴があります。

サラリーマンには青色申告が認められていません。

青色申告は、所得控除が増えます。

税金で納める金額を少なくすることができるのです。

しかも、経費が認められます。

なので、うまく運営していれば、節税ができます。

そして、さらに売り上げが多い場合、法人を設立することで最高税率を抑えることが可能になります。

どういうことか、単純に比較すると、

労働者の最高税率は45パーセントです。

さらに住民税もありますので、実際の最高税率は55パーセントを超えます。

課税所得が多い人ほど、税金が多くなります。

そして、サラリーマンの場合、節税する余地が青色申告よりもありません。

さらに言えば、法人実効税率(法人税やその他諸々の法人にかかる税金を足し合わせた税率)は37パーセント程度です。

なので、お金がたくさん儲かっている状態で法人であれば、税金を20パーセント近く節約できることになります。

もちろん、不都合もあります。

青色申告は、個人事業主になればできるようになります。

個人事業主になって青色申告を始めるよう手続きを取れば、青色申告ができるようになりますが、個人事業主になると、雇用保険からは外れてしまいます。

年金も自分で厚生年金にあたる部分のものは自分でなんとかしないといけません。

社会保障が薄くなる状態です。

サラリーマンは防波堤に囲われる反面、自由を失った存在

サラリーマンというのは、余計な事務をする必要もなく、ただ雇われた身として仕事に打ち込め、ということになります。

行政は徴収しやすいところから税金をとります。

ですから、サラリーマンは身分が自営業者よりも安定していると言える反面、税金は多く持っていかれる可能性もある、働き方によっては不利な状態なのです。

精神的脱出

不利なのに、どうしてそこに留まっているのか?

これは大きな問題なのですが、

いまだに会社を止めることが大変だことだ、という感覚があるからです。

仕事を失ったら、収入がなくなるので生きていけない…

そんな不安が大きいからこそ、サラリーマンでいざるを得ない、というのが現実的な問題です。

ですが、これはハッキリ言って思い込みです。

会社で仕事ができているのなら、自分でだって仕事はできるはずです。

最初は無収入の期間があったとしても、その後収入がある状態にすればいいだけのことです。

経理事務に関しても、税理士はそのためにサービスをしている職業です。

費用としてお金をかければ、自分で全部処理する必要はありません。

不利と知りながら、不利に突っ込んでいく状態というのは、冷静に考えると明らかにおかしな状態です。

世の中のお金持ちはサラリーマンか?

ちなみに、世の中のお金持ちの多くは事業家か、医者・弁護士か、投資家です。

この傾向を見ていると、稼げる仕事を持っていることは共通しています。そして、自分で自ら事業を行っている、と言えます(雇われている医師や弁護士もいますが)

サラリーマンではお金持ちになるのは難しい、ということを意味しています。

サラリーマンがイヤでも抜け出せない理由

サラリーマンから抜け出せないのは、覚悟が必要になるから、です。

場合によっては借金を背負って生きていく羽目になります。

それに、自営業者としてやっていくノウハウがない。

会社にいれば仕事を支援してくれる環境があるので楽、ということもあります。

サラリーマンが安定、という言葉の裏には、こうしたリスクを取りにいかない、という背景があります。

カラクリを知っていても動き出せない

これはこれで問題ではないか?と思います。

社会にイノベーションを、と言っても、安定を手放してまで挑戦しようとしない限り、それは無理というものです。

そうした気概を持つ人を増やすことも大事です。

だけれど、そう上手くいっているとは言えません。

やはり、怖いからですね。

まとめ(競走馬の話)

競走馬の例を出して、まとめとします。

競走馬は、多くがサラブレッドという種類の馬です。

競争用に改良された馬です。

骨折すると、殺処分されることが多いです。

また、レースに勝てない馬は、食肉として流通することになります。

競走馬が生き残る道は、ただ走って走ってレースに勝利し続けることです。

サラリーマンであることも、これに似ていませんか?

環境は整えてある、社会保障も整備してある、さあ、思う存分働け!

でも、実際はその元締めであるところに利益を吸い上げられているわけです。

情報も何も遮断され、居心地が良い空間を与えられて、飼い慣らされているだけです。

走れなくなったら、アウトかもしれませんよ?

それで本当に大丈夫ですか?

こういう考え方もある、ということです。

ぜひ一度、考えてみてください。

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