普段なんの不思議もなく使っているお金ですが、掘り下げてみると実に不思議な存在です。
お金の歴史(日本に関係する年表)
原始文明 物々交換の世界
文明が高度化していく中で貨幣が作られるようになる(日本では飛鳥時代に作られた富本銭が最初の通貨、とされている)
16世紀ごろ 日本において金貨・銀貨が作られるようになる
江戸時代には貨幣の他に為替(紙に書かれた証文)や藩札も出回るようになる
1871年 金本位制が敷かれる
1882年 中央銀行である日本銀行が設立される
1944年 ブレトン=ウッズ会議(ドルを基軸通貨とした固定相場制、金兌換に裏打ちされたドルと各国通貨の交換比率を一定にすることで経済を安定させることを目的とする)
1971年 ニクソン・ショック(金とドルの兌換停止)
1973年 変動相場制へ移行
2009年 ビットコイン(Bitcoin-Qt)が発行される
貨幣価値
貨幣の価値は、最初、金属そのものの価値に寄っていた部分が大きかったようです。
大航海時代に重金主義と呼ばれる考え方がありました。
一国の富は金・銀の保有量によって決まる、とする考え方です。
実際に、当時の貿易では金や銀そのものが船に乗せられて植民地からヨーロッパへと運ばれていきました。
日本においても、江戸時代に発行された小判は、金の含有量によってその価値が違っていたようです。
いわば、価値のあるものを物々交換することに変わりない状態であり、その価値のあるものが金などの貴金属だった、ということになります。
貨幣はバーチャル化する
金属はいずれ、すり減っていきます。
しかし、減った分があっても、同じ額面です。
これが極限まで進んだ状態こそが、実体を持たないお金です。
これは、金属の量(価値そのもの)が減っているのに、刻印されている金額と同じ価値だ、と判断することによって生じる事態です。
このように、お金がお金そのものでなくてもお金かもしれない、ということはずっと起こり続けてきたことです。
また、中国の元の時代には、すでに紙幣(交鈔)が登場しています。
重い金属の塊を運搬することは物理的に無理がありますが、紙切れ一枚があればその紙切れと金を交換する、という約束の下に成り立っている、それが紙幣です。
元時代の交鈔は、これ自体がすでに通貨として発行された、とされています。
つまり、それまで金属だったものが、紙に置き換わった、ということになります。
なお、紙であれば印刷すればいいので、より製造が簡単になります。
これにより、お金はより発行しやすく管理しやすいものへと変わります。
そして、さらに時代が進むと、銀行が生まれます。
こうしたお金を扱うことを業務とする組織ができたことで、銀行の預金通帳残高でお金を把握したり、情報のやり取りによってお金を支払ったこと、受け取ったことにできるようになります。
また、政治的には、基軸通貨と金との兌換停止という大事件(ニクソン・ショック)まで起きます。
もはや、こうなってしまうと、基軸通貨ドルは金と交換することができなくなり、ドルの価値は想像上のものでしかありません。
さらに、技術が進んで、コンピュータの時代になります。
コンピュータ上の数字のやり取りでお金を移動させたことと同じ、ということになります。
そして、仮想通貨であるビットコインまで誕生します。
このように、お金の歴史は貴金属という実体を離れ、目には見えない仮想のものへとなって行った歴史でもあります。
貨幣には価値があるのか?
実際に、貨幣には価値があるのでしょうか?
1円玉はただのアルミです。
アルミとしての価値は、おそらく1円を大幅に下回る価値しかありません。
それでも、1円玉は1円の価値がある。
1万円札も、おそらく紙ですよね?
印刷コスト等を考えても、1万円札の紙には価値はない。
それでも、1万円です。
なんだか不思議です。
お金というものは、そもそも価値があるんだ、とみんなが思い込んでいることによって成り立っているだけなのです。
もちろん、だからと言って1万円札を切り刻んだりハサミで切り抜いて遊ぶようなことはしませんが…
まとめ お金の不思議(お金の持つ機能について)
お金というのは、不思議な存在です。
そんな本当に価値があるのかどうかがわからないものを労働の対価としてもらわないと、私たちは生きていけないのです。
お金がないと生きていけないですが、そのお金自体にそもそも価値があるのかどうかについては、もしかすると誰もわからないのかもしれません…
価値がないかもしれないものに右往左往しているのだとしたら、人間はかなり滑稽な生物です。
(だからと言って、1万円札を切り刻んだりするようなことはしませんが…)
お金があれば豊かに暮らしていけるかもしれませんが、お金がすべてなのか?と考えると、やはりちょっと違うような気がします。
問題は、お金でなにをするか、です。
お金のために人を不幸にしてまで、お金をため込むことが幸せなはずがありません。
幸せを実現するためにお金を使うのなら、価値があります。
何のために働くか、ということにもつながってくる問題です。
お金との付き合い方を考えるのは、とても大事なことですね。