タイミングの話
タイミングは、とても重要な要素です。
いくら良いものがあっても、それを欲しいと思う人がいなければ売れないのと同じように、それを欲しいというタイミングが訪れることがなければ、その商品は買ってもらえることはないでしょう。
また、商品がとても寿命が短い、腐ったり傷んだりしやすいものであった場合、売れないまま放っておくと、そのまま商品自体が無価値になってしまいます。
ですので、商品によっては、タイミングを外してしまうと致命的な損失を受けることとなります。
売る側:売れるタイミング
商品を売る側とすると、ものが売れるタイミングを知ることはとても重要です。
これを知る、ということは、いわば現実のこの世界における人間の五感のようなもので、視覚や聴覚のようなものです。
何かを感じることができて初めて、その先に何が起こるかということが予測できます(予測するためには判断するための情報が必要)
この売れるタイミングを知っていれば、在庫を大量に抱えたりして困るような事態を避けることができます(極端な例で言えば、夏場におでんを大量に仕入れる、ということはしなくなるでしょう…しないと思いますが^^)
ただ、いつ売れるのか、ということは、やはり誰も教えてくれません。
教えてくれるとしたら、販売する相手であるお客さんが教えてくれる、としか言えない部分があります。
反応をみながら仕入れの状況を変えていったりする、という必要がある限り、おそらく生産者と販売者の間にある中間組織(問屋)は無くなることはないはずです。
需要と供給の間のバッファがないと、商品は確実に安定的にそれを求める人のところにまで届かなくなります。
買う側:欲しいタイミング
ものを買う側とすると、大量に同じものがあっても困るので、欲しいタイミングというものが出てきます。
毎日使うもの(短期)なのか、1ヶ月・2ヶ月後に使うもの(比較的短期)なのか、3年後に使うもの(中期)なのか、10年・20年後に使うもの(長期)なのか、自分が死ぬ頃に必要なもの(超長期)なのか…
これによって、必要性も、求めるものの中身も変わってきます。
(だいたい、短期的なものは価格が安い代わりに常に必要とされるが商品1個あたりの利益の金額は少なく、長期的なものになればなるほど商品1個あたりの利益の金額は大きくなる)
欲しいと思うことがなければ、買おうとはしません。
欲しくないのに求めている、というのは、おそらく病気の治療薬や何か常習性があるもの(酒・たばこなど、摂取しすぎると体に悪影響を及ぼすもの)だったりします。
需要と供給
厄介なことに、商品は市場を通して手に入る、という特徴があります。
大きな取引所だけが市場というわけではなく、個人間で取引があればそこが市場なのですが、だいたいは自分以外にも多くの人がいて、多くの人が供給している場を経由して商品を購入することが多いはずです。
この市場は、需要と供給によってものの値段を決定してしまいます(市場は特定の意思を持っているわけではないのですが、そこに参加する人たちの行動の結果がまるで市場の意思のように見え、市場の意思のような振る舞いに見える)
なので、ものの値段は常に変わります。
供給する側も、農産物ならば豊作の時もあれば不作の時もあり、天候によっても作物の出来が左右されるので、収穫量にも影響するので、ものそれ自体の数が限られて、欲しい人に行き渡らなくなるということが起こりますし、逆に多く取れすぎて欲しい人が欲しい量を大幅に上回ってしまう、ということも起こります。
ものの値段は、商品そのものの価値以外にも、そのときの市場の需要と供給に大きく左右される、ということが起こります。
商品のライフサイクル
商品は、形あるものであっても、形がないものであっても、必ず「古くさく」なっていきます。
時間と共に傷んだり、形が崩れたり、あるいは機能を十分に果たせなくなっていったりします(コンピュータのソフトウェアでも、もっと使い勝手が良い製品が登場したり技術的な進歩が激しいので、あっという間に過去の製品になっていってしまいます)
それを生産する側としては、「作ろう」と思ってすぐに作れるわけではありません。
日本ではお米は1年に1度しか収穫できません。
コンピュータのソフトウェアも、おそらく実際に売り出すには1日や2日では無理です。
収穫する頃・完成する頃のことは、誰にもわかりません。
ちょうどその頃には、需要がなくなっている、という可能性だってあります。
永遠に続くものはなく、状況は常に変わっていくので、今あるものは常に古くなっていく運命にあります。
ものを作ったり売る側にとっては、これは非常に大きなリスクでもあり、チャンスでもあります。
景気循環の話(短期〜長期)
経済学でよく言われる、景気循環の波があります。
(それぞれの経済学者の名前をとったネーミングとなっています)
世の中の様々な経済に影響を及ぼす要因を追っていくと、必ず周期的な波がある、ということが言える、とされます。
- キチン循環(短期波動) 約40ヶ月 商品の在庫に関係
- ジュグラー循環(中期波動) 約10年 企業の設備投資に関係
- クズネッツ循環(クズネッツの波) 約20年 建設需要に関係
- コンドラチェフ循環(長期波動) 約50年 技術革新に関係
なお、これはおそらくどのような分野にも当てはまるので、例えば「タクシー利用状況」ということをタクシー運転手の方に聞いて回れば、数字だけでなく、お客さんがどのような内容の話をしていたか、ということもわかるはずで、これで世の中の動向が掴める、ということもあるかと思います。
(次回に続きます)
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タイミングの話|何事もタイミングが大事!? その2
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