音楽について|耳にするだけで、記憶が蘇る…

2020-06-25

2006年ごろ流れていた曲

ふと、耳にするだけで、当時の記憶が思い出される1曲、というのがあります。

私は今年で40歳になります。

(もう、けっこういい歳になりました)

人生の節目の頃に聴いていた音楽なら、殊更そういうことが起こります。

私の場合、2006年ごろによく耳にした、中島美嘉「桜色舞うころ」です。

アルバイト

当時、私はいろいろあって家の近くにあった食品スーパーでアルバイトをしていました。

体が万全ではない状態ではありましたが、それを周囲に悟られないように、自分を騙しながら仕事をしていた記憶があります。

当時、私は精神科に通院していた状況で、体調がよくない状況でした。

パニック障害がひどく、ただ普通に生活しているだけなのに「生きるか死ぬか」という恐怖に襲われる、という状況でした。

交差点で信号待ちをしているだけで、それこそそこが戦場みたいに思えてきて、そこで死ぬのではないか、という恐怖に襲われて全身が震え出す、というくらいの状況でした。

なので、アルバイトできるような状況でもなかった、というのが本当のところでした。

スーパーの業務は品出し、と呼ばれる売り場の商品を整理したり陳列したりする仕事でした。

あまり人と接したりする必要がなく、割と自分のペースでできた仕事だったこと、割に自分に合った仕事だったことが幸いして、私はこのアルバイトをすることで、少しだけ自分に自信を取り戻した気がしました。

私のアルバイトのシフトは、平日週5日、午後1時から午後8時の閉店まで、というシフトでした。

アルバイトなので、給料的には週これだけ働いて10万円くらい。

当時、26歳、周りの同級生は正社員になっていて、当然、もっと給料をもらっている…

そんなことは思わないようにしていましたが、やはり数字として見ると、何かやり場のない悲しさのようなものを感じたものです。

閉店間際

いつも閉店の時間帯までがシフトだったので、私はいつも閉店の店内放送を耳にしました。

スーパーの店内は、ボーカルが入っていないヒット中の曲が流れていました。

そして、時間帯によってだいたい流れてくる曲が決まっていました。

中島美嘉「桜色舞うころ」もそのうちの1曲でした。

中島美嘉さんがとりわけ好きだった、ということもなかったのですが、こういう事情があってよく聴くことになりました。

確かに、当時よく耳にしたヒット曲を歌っていた歌手です。

閉店間際でガランとした店内、仕事も終わりに近づいて、そろそろ、という時間帯に、この曲が流れてきたものです。

スーパーで働いていた人たち

残念ながら今ではもう交流もなく、みなさんどこで何をしているのかはわかりません。

ですが、当時、とてもお世話になった職場の上司や同年代のバイト仲間がいました。

店長が音頭をとって、お店を閉めた後、駐車場の一角でみんなでバーベキューをしたこともありました。

働いていた人たちは、主婦のパートの人たちで年齢は30代後半から50代までの女性か、20代の同年代の若い子のどちらかで、正社員は店の規模に比べてごくわずかしかいませんでした。

これも、世の中を反映していたように思います。

その後のスーパーは?

残念ながら、そのスーパーは最近、地元から撤退してしまいました。

建物は残っていますが、今は違うチェーン店が入居しており、当時の売り場の雰囲気は残っていません。

アルバイトを辞めた後も、私は買い物でそこによく出かけました。

当時の裏側を知っていたせいか、今でもスーパーで働いている人を見るととても親近感を覚えます。

その後の私

その後、私は病気が治らない期間が続き、就職することもままならないまま、ずるずると出口が見えない状態が続きました。

家族からは遊んでいるように思われる(精神の病気はそう見られやすい)、お金はない、時間はあるけど意欲が湧いてこない、という状況で、生きながらに半分死んでいるような状態です。

実際、私はその後、10年間ほど低迷する期間が続くことになります。

人それぞれ、人生にピークはあるにしても、通常ならしたいことが思い切りできるような年代を私は病気療養で失ってしまい、人生が壊れてしまった、というのが実情です。

明らかに、私は迷いの中に放り込まれていた、それがこの曲を聴いた頃です。

人生はそれでも回っていく

音楽は、希望です。

人生にはいい時も、悪い時もあります。

音楽は、そんな人生にそっと寄り添ってくれる存在です。

36歳、私は結婚し、職を得て、一時の幸せを得ますが、39歳(つい最近)になって再び全てを失う、ということになりました。

人生には、いいこともあれば、悪いこともあります。

だけど、どんな時も、当時流れていた曲は残り続ける。

一瞬で、当時の気持ちに戻ることができる、そんな存在です。

これから先、10年20年と経ってから、もしこの曲を再び耳にする時、私はどんな状態かはわかりませんが、ただアルバイトをしていた頃のいろんなことをきっと思い出し、懐かしむことと思います。

人生、いいか悪いかはわかりません。

ただ、確実に言えるのは、過去が自分を形成していく、ということです。

その意味でも、音楽とは、人生の記憶であり、人生そのものです。

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