【書評】営業の魔法|中村信仁 著

2020-10-24

本の要点

「自分の思いが、その職業を貴くも賤しくもするのだと信じています」

(著者は、本の中で「敬遠されがちな営業という仕事にエールを送りたくてこの本を書いた」と述べている)

  • 営業をする人に必要なのは、集中力、会話力、渦潮力の3つ
  • 集中力とは、相手をいかに自分だけに集中させるか、ということ
  • 会話力とは、双方向で話し合う力
  • 渦潮力とは、相手を自分の流れに巻き込む力
  • 会話には間が必要
  • 人間力を向上させることが大事
  • 「ノー」と言われることで自己の足りないところを見直し、自己成長していく努力を継続していく
  • 商品は売るのではなく、相手の問題解決のお手伝いをする
  • 営業の形は基本的に聴く・観る・伝える、の3つ
  • 明確なビジョンを持ち、それに向かって思考を集中し、断固たる勇気を持って行動する
  • ビジョンから目をそらさない
  • 身を投げ出す勇気を持って歩くこと

営業とは(そして、仕事とは)それを通して誰かを幸せにする、ということ

著者はどのような傾向を持った人か?

著者は、本の奥付によれば、営業の現場で営業職として経験を積んだ人です。

その会社の世界トップセールスマン10人のうちの1人に数えられるほどの成績を残していた、と書いてあります。

また、参考文献を見る限りでは、自己啓発の分野から多大な影響を受けていることが伺えます。

営業の技術に精通しながら、さらに営業として持つべき心構えについても関心を持ち実践してきたのだろう、と思われます(著者は営業に関するスクールを主宰している)

営業とはどういう仕事か?

営業職は、確かに辛いイメージがあります。

会社とお客さんの間の板挟みとなり、休日にも問い合わせの電話対応をしなければいけない、しかも、お客さんの苦情を1番受けやすい(その苦情は自ら起こした原因でない場合が多い)

移動が多く体力的にハード、しかも精神的にも打ちのめされるようなことが多い…

そんなイメージがあります。

ただし、ものを売らなければ、売り上げにはなりません。

ものを作ったとしても、それを届けることができなければ、ものの価値が誰にも届いていないことになり、企業としては困ることになります。

営業は、その価値を誰かに届ける役割を持っています。

ですので、業態にもよりますが、営業はとても重要な仕事です。

営業の魔法

営業という要素は、実はどこにでも存在しています。

なぜなら、人(あるいは法人)は、市場とともにあるからです。

自分以外の市場(個人でも、漠然とした世の中でも)にアプローチしなければ、自分の作ったものや自分の持つサービスを誰かに買ってもらうことはできません。

面白いのは、同じものを扱っていても、売る人によって売り上げがまったく違う、ということです。

実際、タクシーの運転手を例にとれば、収入でわずかな人もいれば、年収1000万円や2000万円を超える、という人もいます。

していることは、自分が運転するタクシー車を使って、移動したいと思っている人のところに行って、人を乗せて目的地まで行くことです。

タクシーは料金体系が法的に定められている世界です。

結果が違う原因は、売り方です。

必要とする人へのアプローチの違い、と言えます。

仕事を通して実現することとは何か?

これはすべての仕事について言えることですが、結局、仕事を通じて何を実現したいのか、これがとても大事です。

仕事は、1人ではできません。

さらに、相手を伴うものです。

自分のためだけに仕事をするよりも、相手のために仕事をする(する、というより、相手の抱える問題を解決するお手伝いをさせてもらう)ことで、仕事は価値を発揮します。

結果的に、自分の欲だけで何かを実現しようとするよりも、相手の利益のために活動していく、というスタンスがとても大事になります。

(商品を売ろうとした瞬間、相手にはこちら側の欲の感情がわかってしまい、敬遠されることになる)

欲しいと思うなら、まずは与えなければいけません。

個人事業主の場合、先に設備や材料に対してお金を支払い、それを元に何かを作って誰かに販売してお金を回収する、というプロセスを踏みますが、営業という仕事もどこかこれに似ている、と感じます。

確かに大変なことはありますが、それに見合った成果も得られる仕事、それが営業です。

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